半分は経験して学んだ。マネージャーにおける学びを振り返る

この記事は Engineering Manager Advent Calendar 2020 22日目の記事です。

はじめに

アスクルの いのだい です。

私はLOHACOの複数のエンジニアチームを管理するポジションにいて、各チームのマネージャーを育成するミッションがあります。育成するためにはまず何が必要なのか考えた時、以前書いた 記事 を見返して、いかにして学んだのかを振り返ることにしました。なお、この記事で扱うマネージャーとはチームを取りまとめるポジションのことです。

現在マネージャーとして奮闘する方に少しでも参考になれば、という思いと、私をマネージャーにさせてくれた先輩方や元チームメンバーへの感謝を込めて記事にします。

10の心得の学びを振り返る

それでは、1つずつ見ていきましょう。

1. マネージャーは偉いのではなく1つの役割である
マネジメントを行うスキルが求められますが、スペシャリストが技術力を求められるのと同じです。ちなみに、筆者は上司・部下という呼び名が好きではありません。

アスクルに入社してから、先代のマネージャー達の仕事ぶりを見てマネージャーというロールを学びました。

マネージャーのロール * ミッション * チームが出す価値を最大化すること * アクション * メンバーの育成/メンタリング * チームの進捗管理/リソース管理/目標管理 * ラインマネジメント * 勤怠管理 * 目標/評価/勤怠などの承認

会社や組織によってミッションや責任範囲が異なりますので、まずはどういったことを求められているのかを把握することが重要です。

2. メンバーの意志を尊重する
何よりチームを動かしているのはメンバーであり、メンバーの意志なくして成功はありえません。したがってメンバーが持つ意志を常に認識し、チームとのギャップがあれば丁寧に埋めていかなければなりません。

元々自分のモットーであった「意志ありき」をチーム、メンバーにも適用した結果、チームの心理的安全性を高めることができた経験から来ています。

3. チームに責任を持つ
メンバーはメンバー自身が成果をあげることに責任を持ちます。マネージャーはチームが成果をあげることに責任を持ちます。

アスクルでスクラムの考え方に触れたことで「チーム」という単位を改めて認識できました。以前はチーム=同じ業務をする集団くらいに思っていましたが実は違っていて、同じミッションを持つ集団であり、それを達成するためにチームとして上を目指していくことだと理解できました。

4. メンバーが感情を持っていることを忘れない
論理的に考え過ぎると、メンバーが持つ感情への意識が薄れてしまうことがあります。メンバーが理解できても、納得できていないかもしれません。

前職でチームリーダーをやっていた時の経験から来ています。当時の私は、仕事は冷静かつ論理的に進めて結果を出せればよいと考えていました。しかしチームメンバーと感情的に衝突した出来ごとをきっかけに、メンバーが思っていたことを理解できておらず、気にもかけていなかった反省が今に活きています。

5. 引っ張るのではなくて引き出す
メンバーをぐいぐい引っ張るのはリーディングであり、メンバーのレベルアップするきっかけを引き出すのがマネジメントだと考えます。

3. チームに責任を持つと同様、マネージャーというロールを理解したことで意識するようになりました。大きな局面で先頭に立ってメンバーを引っ張ることもありますが、基本的には新しいこと、困難なこと、複雑なことほどメンバーの成長機会と捉えてできるだけ任せるようにしていました。

6. 的確に判断する
時として重要な決定が迫られます。チームの最終判断者はマネージャーです。決して抱え込むのではなく、メンバーの意見にも耳を傾けて何が最善なのか慎重に見極めましょう。

実際にマネージャーをやってみて、判断を迫られる場面を多く経験したことに起因します。迷う時や振り切れない時というのはあり、そのときは遠慮なくメンバーを頼って、意見を聞いたり議論をして一緒に乗り越えてきました。

7. 先頭に立つのではなく矢面に立つ
先頭に立つのではなく、外部との交渉や重要な決断を迫られた時に真っ先に受け止めることでメンバーを守ります。

前職の直属マネージャーがメンバーを守る姿勢をはっきりと見せてくれて、安心して自分の業務をできた経験から来ています。「何かあれば俺が責任取るから思い切ってやれ」という言葉がとても印象に残っていて、今の業務で重要な局面を迎えたときは同じように構えるようにしています。

8. 筋を通す
常に一貫性を保てるのが最善ですが、あっち行ったりこっち行ったりしても良いです。方向転換する時にメンバーに対してきちんと説明すれば良いのです。

私はもともと「筋を通す」というマインドをもっています。実際にマネージャーをやってみて、一貫性を保つことよりもメンバーに納得感が得られるまで説明することの方が重要だと気づきました。

9. 指示を出さない
目指すべきゴールを示しますが、具体的な指示を出しません。チームがゴールに正しく向かっているのか、最大の注意を払います。

メンバーに具体的な指示を出すことでスピード感を持って業務を進められますが、メンバーが深く考える時間=成長機会を奪っている側面があると気づきました。たとえば新しい案件が発生したとき、具体的なタスクに落とし込んでメンバーに渡すことで考える機会が少ない状態でタスクを進めることになります。そうではなく、どんな手段があるのか?メリットは?といったことをメンバーに考えてもらうことで問題解決の力を養うきっかけになります。

10. 自分ができることはたかが知れていると認識する
自分一人でできることはたかが知れています。チームで力を結集することで大きな成果があげられます。チームの成果はマネージャーの成果です。胸を張りましょう。

エンジニアとして尖ったスキルがないという劣等感を持っていた点と、実際にマネージャーをやってみてすごく感じたことです。チームで成果を出すことに、必要以上に責任感を感じで自分自身を追い込んだ時期がありました。勇気を出してメンバーを頼ったところ快く耳を傾けてくれて、チームに助けられました。

結局、学ぶきっかけはなんだったのか?

ここで10の心得を分類したところ、次のようになりました。

分類 心得
先輩方から学んだもの 1. マネージャーは偉いのではなく1つの役割である
3. チームに責任を持つ
5. 引っ張るのではなくて引き出す
7. 先頭に立つのではなく矢面に立つ
マネージャーの実体験から学んだもの 2. メンバーの意志を尊重する
6. 的確に判断する
8. 筋を通す
9. 指示を出さない
10. 自分ができることはたかが知れていると認識する
自分の過去の経験から学んだもの 4. メンバーが感情を持っていることを忘れない

半分は実際にマネージャーを経験してはじめて気づけたもので、やってみないとわからないことが多いようです。また、メンバーとのコミュニケーションで気付かされたことや、メンバーと一緒に学ぶこともたくさんありました。

他方、マネージャーというロールを理解したことによって得られたものが4つでした。私がマネージャーに就任してからの教科書的な心得です。

これらをまとめると、

  1. マネージャーのロールを理解する
  2. 実際にやってみる

の2つに集約されることがわかりました。

おわりに

マネージャーでいることの10の心得を振り返りました。

いまマネージャーに近い立ち位置の方、将来その役割を期待されているかもしれないと感じている方、よくわからないけど大変そうだと思っている方。あなたの身近なマネージャーはどんなミッションをもっていて、どんなことを考えているのか、ぜひ聞いてみましょう。マネージャーという存在がもっと身近に感じるかもしれません。

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